もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
――10秒、たったか、たたないか
「…ありがと」
京星くんがゆっくりと私から体を離した。
「悪かったな、変なこと頼んで」
「う、ううん…」
窓際の机の上に置いてあったカバンを手に取る京星くん。
まるで何事もなかったみたいに、いつも通りに肩に背負う。
「紗英」
「ん?」
そう私を呼ぶ声もやっぱり、いつも通り、優しかった。