もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「おっけ!何歌うんだよ京星?」
ノリノリでマイクと一緒に曲を入れるタッチパネルを渡してくる近藤。
「さぁ?」
京星くんはそれを受け取ると、なぜか画面を私に見せてきた。
「紗英。どれ歌う?」
「…え。私歌わないよ?」
「歌おーぜ、一緒に」
「一緒に!?」
「ダイジョーブ。俺のが下手だから。楽しもうぜ、せっかくだし」
履歴ボタンをタッチする京星くん。
「…うわ。全然わかんね」
「私曲は分かるけど歌えないやつばっかり…」
「あ、これは?これなら授業で歌ったことある」
そう言って京星くんが指さしたのは“君が代”。
あまりにマジメな顔して言うものだから、思わず笑ってしまった。
「京星くん…君が代って…!」
「歌える?」
「そりゃ歌えるけど、一応…」