もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「…え」
京星くんのこの感じ。
もしかして“あーん”…!?
「え、や、でも」
こんなクラスのみんながいる所で…!?
「いいから」
京星くんが問答無用でもんじゃを私の口に近づけてくる。
その勢いに圧されるように、思わず口を開けた。
「…ん!おいしー!」
「よかったな」
フッと京星くんが切れ長の瞳を緩めた。
「…はぁ?なんだよお前ら、ラブラブかよ!?」
それを見ていたらしい近藤が驚愕の表情を浮かべた。
「あーんって!?なんだよ、それ!?もんじゃでイチャついてんじゃねぇよ!?俺なんか…俺なんかまだ人生で一度もしたことないのにー!!」
「近藤。はい、あーん」
「おお工藤ありが…ってこれ紅ショウガ!!」
一人漫才を繰り広げる近藤を見ていたら、ふと視線を感じた。
振り向くけど、そこにはそれぞれもんじゃ焼きを楽しんでいるみんなの姿。
…?
気のせいかな。