もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「もう離れてよ…!」
「やだ」
ハヅキはまるで子供みたいにそう言って、私の肩を引き寄せ抱きしめる。
「さぁちゃんの泣き顔他の奴に見せるわけないじゃん?もったいない」
「はぁ!?」
ハヅキなんて嫌い。大嫌い。
でも、浮気されてたこととか別れたショックとかさっき噛みつかれた痛みとかハヅキがムカつくとか、いろんなことが積み重なって
「…っ、」
それが全部溢れて、涙となって流れてくる。
ハヅキは私の顔を自分の胸元に押し付けるようにして、もう片方の手で私の頭を撫でた。
「…すっごい泣くね」
「うるっ、うるさい…!」
「そんなに好きだったんだ?あのクズのこと」
見る目ねぇー、とハヅキが笑う。
「さぁちゃんの男を見る目って節穴以下だね?」
「だからうるさい!」
「…で、死ぬほどムカつく話」
「は…?なに、ぐっ」
強い力で顔を押し付けられた。
「殺したくなるくらい」