もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
そこに愛はありません
2月14日。言わずと知れたバレンタインデー。
それは恋する乙女の一大行事♡
だけど。
つい最近フリーになったばかりの私には、まったく1ミリも関係ございません。
「いや関係あるでしょ。彼氏いるんだから」
「っだから!ホンモノの彼氏じゃないんだってば!何度も説明したよね!?」
「あーはいはい、ニセモノね。ニセモノの彼氏」
テキトーそうに相槌をうつ彩心。
彩心にはハヅキが私に恨みを持っていることも、ムリヤリ彼女にさせられたことも全て説明した。
他の女子に説明することは…諦めた。だってみんな絶対、ハヅキのことを信用するもん。
クラスの女子みんな、ハヅキのあの極上に良い顔に騙されている。
あんなに人畜無害そうな天使みたいな顔して、中身は女子の顔に噛みつくような悪魔なのに。
私は自分の頬を撫でる。
もうそこに絆創膏はないけど、あの恨みと痛み、忘れまじ。