もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「…何これ」
バレンタインデーまで1週間に迫ったある日。
朝登校すると、私の机に【バレンタインチョコ決定版ベスト100!】と表紙に書かれた雑誌が置かれていた。
今年はバレンタイン不参加予定の私のものではもちろんない。
「彩心」
私は先に登校してスマホをいじっていた彩心に聞くことにする。
「この雑誌誰のか知ってる?」
「さっき高橋くんが置いてたよ」
彩心はこのクラスで珍しくハヅキのことを“高橋くん”と呼ぶ。
「え…」
ハヅキが!?
隣を見ると、姿勢正しく読書しているハヅキ。
本のページを捲る指が長く美しい…じゃなくて。
「…ねぇ、これハヅキの?」
私の声にハヅキがゆっくり顔をあげた。
「…いや?そんな雑誌見たことも触ったこともないけど」
「えぇ?だって今彩心がハヅキがここに置いたって」
彩心を見るハヅキ。
ハヅキの視線に気付いてスマホから顔をあげる彩心。
ふたりの視線が交差すること数秒。
「…いや、やっぱ違うわ。高橋くんじゃないかも」
彩心がそう言って、再びスマホに視線を落とした。