もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「あ、ごめん電話だ」
机の上に伏せて置いてあった渓渡のスマホが鳴った。
「だれー?」
「んー?部活の奴。わり、ちょっと出てくるわー」
「うん…」
ここで話せばいいのに、なぜかスマホを持ったまま教室を出て行く渓渡。
なんか最近、電話多いなぁー…
無理もないか。渓渡、人気者だし。
なんて考えながら一人で黙々とお弁当を食べる。
あの転校生、ほんとかっこよかったなぁ、なんて思い出しながら…
「一人でお弁当?サビシーね」
「っは!?」
…っくり、したぁ。あやうくたまご焼きを落とすところだった。
振り向くと、壁にもたれかかるようにしてイケメン転校生が立っていた。
うおお、気だるげに立つお姿も素敵…!
「いっ、いつからそこに!?」
「んー?さっき。全然気づかないんだね、早見さん?」
近づいてくるイケメン転校生。
お弁当をのぞきこんできた。
「うわ、おいしそ。自分で作ったの?」
「…いや、お母さんだけど…」
「はっ、だよねー」
…だよねーってどういう意味…
なんて思っているうちに、私のお弁当から勝手にたまご焼きを拝借していくイケメン転校生。
「ん、おいし」
「えと、ありがとう」
「いや早見さんのこと褒めてないし。早見さんのお母さんを褒めてるんだけどね」
「…あ、そう」
なーんかトゲあるなぁ…
だけど顔が極上にいいから許す!