もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
――そして迎えたバレンタインデー当日!
彼女以外からは受け取らない宣言をしていたのにも関わらず、ハヅキは大勢の女子と大量のチョコに囲まれていた。
「いいなーハヅキ!ってかずるくね!?俺まだ0個なんだけど…!」
それを羨ましそうに見ている近藤。
「あげるよ」
ハヅキがにっこり笑って言った。
「えっマジで!?じゃぁその赤いラッピングした一番うまそうなやつ…!」
「いいよ。全部あげる」
「はっ?」
近藤の方にチョコを全部押しのけたハヅキが、にこにこ笑顔のまま私を見てくる。
その笑顔は一体どういう意味なのか…
私は気付かないフリをしてスマホを開く。
私が今日のために、一生懸命作った七味入りの激辛チョコ。
試食してみたら、なんというか、辛いだけじゃなくて地獄のまずさだった。
この地獄チョコをあげてハヅキに【こんな奴彼女になんてしてられるか!】と思わせる作戦だ。
だけどこんなにまずいチョコあげたら絶対キレる。何をされるか分からないので、チョコは放課後に渡すことにした。
渡すだけ渡して逃げ帰ろう!
それで明日のことは…家に帰ってから考えよう!