偽善はいらない。助けてよ
次の日の朝、両親は普通に私に接してきた。

いつの日か陽はあれは何かの見間違いだったのだと自分に言い聞かせるようになっていた。





そして1年後。陽が小学六年生になった頃、今まで1人だった陽に弟が出来た。

可愛い可愛い弟。父に似ず母に似て可愛らしい顔だ。

初めてお姉ちゃんになった陽は弟の面倒を見るのが楽しくて幸せだった。

だがそんな幸せは長く続かず、段々歯車が狂い始めた。


弟が産まれてから父は酒を飲むと家族に暴力を振るうようになった。

2階の部屋に父がいる為、陽と弟と母はいつも1階の居間で祖母や祖父と怯えていた。

そんな地獄のような毎日だった陽にも唯一楽しい、幸せだなと思える時があった。

< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop