偽善はいらない。助けてよ
それから数日の話。

いつも通り父は酒を飲み暴力をしていた。

だがその日は少し違った。

祖母や祖父が止めに入っても暴れる父にもう無理だと母は警察を呼んだ。

それからは早いもので、陽の母は離婚し、陽の父は水無瀬一家へ接近禁止命令が下された。

陽の母はもっと早くこうしてれば良かったねと陽に謝罪した。


その頃にはもう陽はその年齢に似合わず達観し、何もかもから一線を置いていた。

そして卒業間近に奏から県外の高校へ行く事を言われ、落胆していたがそれでも奏は陽が好きだから休みにはそっちに遊びに行く、そう誓ってくれたおかげで少し気持ちが落ち着いた。


この時、自分の恋人に降り掛かる地獄を、陽はまだ知らなかった。



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