偽善はいらない。助けてよ
その電話口で奏の母は淡々と告げた。










───────奏は死んだと




奏は交通事故で死んだ事。


葬式は身内だけでやるから報告だけしたという事。


淡々と、まるで事務報告でもしているかのような冷たい口調でそう言われた陽。

電話を切ってからも頭は整理出来ずこんがらがっていた。



「奏が…死んだ…?嘘…そんなの嘘だ!嘘に決まってる!………嘘って……嘘って言ってよぉ……」



膝から崩れ落ち夜通し泣いた。

最愛の恋人が死んだ。

その事実は当時まだ12歳の陽にはあまりに酷で、思考を停止させるには十分すぎる報せだった。
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