ホームズの子孫には敵わない
「大人しくするように言いましたよね?」

冷たく響いた声に、私はびくりと体を震わせる。後ろからモリアーティが姿を見せる。その手には、拳銃が握られていて銃口は私をしっかり捉えている。

「……ッ」

私は体を震わせ、両手を上に上げた。



私は両手を後ろで拘束され、目隠しをされたままモリアーティに連れられてどこかへと歩かされる。どこに向かっているかなんて知らない。

でも、相手は犯罪者。私はもしかしたら殺されてしまうかもしれない。そう思うと、銃を突きつけられた時よりも不安も恐怖がこみ上げてくる。

乱暴に腕を掴まれているため、とても痛い。引きずられるように歩かされ、どこかの部屋に入った刹那に力任せに床に突き飛ばされる。両手を地面につけないため、顔を打たないように気を付けた。

「うっ……」

地面に打ったところが痛い。しかし、その痛みに耐える間なくモリアーティに頰を叩かれた。目隠しを外されると、嬉しそうに笑うモリアーティの顔がある。
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