ホームズの子孫には敵わない
「ホームズからいなくなったって聞いて、本当に驚いたよ……」

「今までどこに行ってたんだ?」

二人の警部にそう言われ、私は多くの人に心配をかけていたんだなと反省する。

「ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

私は頭を下げ、久しぶりの仕事をすることにした。それは、お客さんにお茶を出すこと。

少し緊張しながら紅茶を淹れる。フランスにいた頃は、紅茶も飲んでいたけど何か違っていた。味とか、香りとか……。

ふわりとキッチンに漂った匂いに、私は微笑む。やっぱり、紅茶はイギリスのものが一番いい。

「お待たせしました」

私がそう言い、紅茶を四人に出しに行くと、四人は事件の話の真っ最中だった。しかし、「来た来た!」と喜んでくれる。

「和香の紅茶、久しぶり!!」

紅茶を真っ先に飲んでくれたワトソン先生が私に笑顔を向ける。その笑顔を見て、胸がとても温かくなった。

「とてもうまい。懐かしいな……」

ホームズさんもそう言ってくれて、幸せで……。
< 3 / 25 >

この作品をシェア

pagetop