ホームズの子孫には敵わない
「ありがとうございます」

私はそう言い、頭を下げる。微笑んだ私の瞳から、涙が一筋こぼれた。

今は、この温かい時間を楽しもう。ただいま、ベーカー街。ただいま、ホームズさん、ワトソン先生。

「和香も事件について話を聞いてくれ」

レストレード警部に言われ、私は「はい!」と笑ってソファに座る。ソファの感触すら懐かしくて、私はここが本当に好きなんだな。

事件の話を、私はわくわくしながら聞いた。ホームズさんは相変わらず二人の警部をからかって、ワトソン先生が止めて、何も変わってない。

「……アハハ」

私が笑った時、ホームズさんたちが頰を赤く染めたのは気のせいだと思う。



ロンドンに戻って数日。私に忙しくも楽しい日々が戻ってきた。

「おはようございます」

「おはよう、和香」

ホームズさんとワトソン先生の朝ご飯を作って、ワトソン先生やホームズさんが淹れてくれた紅茶を楽しむ。

「今日は調査が早く終わりそうだ」

「なら、ホームズさんのぶんも用意しますね」

「和香、今日は何を作るの?」
< 4 / 25 >

この作品をシェア

pagetop