ホームズの子孫には敵わない
ワトソン先生が笑顔で言い、私は驚く。今日は誕生日でも何でもない。

「私、誕生日では……」

「わかってる。でも、受け取ってほしいんだ」

ホームズさんに言われ、私は二人から箱を受け取る。ホームズさんのプレゼントは、ワインレッドのおしゃれな腕時計。ワトソン先生のプレゼントは、リボンをモチーフにした可愛らしいネックレス。一目で、私は二人からのプレゼントを気に入った。

「可愛い！ありがとうございます」

私が喜ぶと、二人はホッとしたような顔をになる。そして私の頰に触れて言った。

「これを、肌身離さずつけていてほしい」

「気に入ってもらえて、本当によかったよ」

その刹那、私の耳にホームズさんが顔を近づける。吐息が当たってくすぐったい。

「ーーー……」

ホームズさんが私に囁いた言葉に、私は目を見開く。私の耳元から顔を上げたホームズさんも、さっきまで笑っていたワトソン先生も、真剣な目で私を見つめていた。
< 6 / 25 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop