溺愛の価値、初恋の値段
プロローグ
子どもの頃から、わたしは料理をするのが好きだった。
きっかけは、働くお母さんを手伝いたい――なんていう真面目な思いからではなく、自分が好きなものを食べたいと思ったから。
誰かに食べてもらいたいなんて、思ってもいなかった。
そんなわたしが、初めて他人に手料理を振る舞うことになったのは、中学二年生の時。
メニューは、オムライス。
「美味しい」と言ってもらえたのが思いのほかうれしくて、「また作って」と言われて頷いた。
それ以来、金曜日は「オムライス」の日になった。
あの日まで――。
わたしが、三百万円と引き換えに、初恋を売ってしまうまで――。
きっかけは、働くお母さんを手伝いたい――なんていう真面目な思いからではなく、自分が好きなものを食べたいと思ったから。
誰かに食べてもらいたいなんて、思ってもいなかった。
そんなわたしが、初めて他人に手料理を振る舞うことになったのは、中学二年生の時。
メニューは、オムライス。
「美味しい」と言ってもらえたのが思いのほかうれしくて、「また作って」と言われて頷いた。
それ以来、金曜日は「オムライス」の日になった。
あの日まで――。
わたしが、三百万円と引き換えに、初恋を売ってしまうまで――。