溺愛の価値、初恋の値段



飛鷹くんを傷つけたことを後悔しない日は、なかった。


あの三百万円のおかげで、お母さんを温泉に連れて行き、桜の木をお母さんの墓標にすることができた。



でも、どんなに必要でも、貰うべきではないお金だった。



わたしは高校を卒業して就職し、二年がかりで使ってしまった分のお金を補って三百万円を揃え、飛鷹くんのお母さんを訪ねた。

あいにく、飛鷹くんのお母さん、飛鷹くんのどちらも不在だと言われ、対応してくれた秘書だという男性に、お金と手紙を託した。


手紙には、飛鷹くんが好きだったオムライスのレシピを書いた。








そうして、わたしと飛鷹くんを繋ぐものは、完全になくなった。


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