キミ観察日記
「たのしいね、ヨイチ」
「僕はやっぱりアウトドアよりインドア派だな」
「これ捨てる?」

 使い終わった紙コップを手に取る少女。

「ああ。袋にまとめておいてくれ」
「うん」
「網は触るなよ。火を消したがまだそのあたりは熱いから近づくな」
「センセイは?」
「先生は……」

 食事を終えると男は別荘に入っていった。

「ゆっくりしてるんじゃないか」
「きょう、ずっとセンセイもいっしょ?」
「だろうな。…そうでなきゃ車に乗っていかれると置いてけぼりになる」
「あのこ、だれ?」
「は?」
「おんなのこ」

 少女の問いかけに、与一が顔をあげる。

「女の子?……なにが」
「あそこ」

 少女が別荘を見上げ、指をさしている。
 そこは二階のある部屋だった。

「誰もいないじゃないか。変なこというなよ」
「いたよ?」
「僕ら三人で来たんだぞ。ここは先生の所有物だからむやみに人が入り込むことなんてーー」
「カーテンむこうに、いるよ」
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