キミ観察日記
「すごい。キラキラ!」
「プラネタリウムなら社会科見学で行ったが……」
「比じゃないでしょう? 与一くん」
「街中にすんでいると、まず見れない景色だなと。空気もいい」
「自然は偉大ですね」

 洗練されていく。

 心が。身体が。

「ぷらねたりうむ?」
「ドーム状の天井をスクリーンにして、そこに投影機から発した光をあてる。明かりを消した部屋の中で、星空を見上げているような気分になれるのですよ」

 太陽では体重が何倍にもなるだとか、【水・金・地火木・土・天・海】の惑星の九番目には冥王星という惑星があったが今は準惑星だとか。

 オリオン座の中でも輝く星に名前があるだとか、お供におおいぬ座とこいぬ座がいるだとか。

 子供時代に微塵も興味がないことに触れ、学び、暗記までさせられたのは与一にとって苦い思い出だ。

 それでもーー

「都会が恋しいですか?」
「……もう少しくらいなら。いてもいいです」

 三人で見上げる夜空は、悪くない。

「だったらここにいるといいです」
「はい?」
「私は明日の朝には発ちますが」
「置いて帰られても困ります」
「はは。心配しなくても、次の休みには、ちゃんと迎えに来ますよ。それまでに帰りたくなったら、ふもとまで降りて、車を拾いフェリー乗り場まで向かうといいです」
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