キミ観察日記
さて、本題に入りましょう。

私の父の話でなく、私の少年時代の話を聞いてもらいたいのです。

そう、宿題の話です。

夏休みになると、担任がプリントを持って家まで来ました。

父は、そのプリントに目を通す時間すら無駄だと捨ててしまいました。

しかし私は幾分か興味があったので――こっそりそれらを拾って読んでみることにしたのです。

ただの子供の好奇心です。
ドキドキしました。
少し、怖くもありました。
見つかると叱られてしまいますからね。

やはり、父の言うとおりでした。

それにはレベルの低い数式や文章問題が並んでいて、そんなものに時間を割く意味が微塵もわかりませんでした。

ひょっとしたらこれは、やりたくないことをやる訓練か。
世の中の不条理なものに耐えるための修業か、などという考えに至ろうとしていたとき。

私は、あるものを見つけました」
< 11 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop