キミ観察日記
 雨音で、目が覚めた。

 手元にある携帯で時刻を確認する。

「……三時か」

 おかしな時間に起きてしまったな。

 となりを見ると、少女が小さく寝息を立てている。

「お前……また僕の布団に」

 となりの部屋から、足枷をしたまま、ゆっくりとやってきたのだろうが。

「それならもういっそ。最初から一緒に寝ればいいんじゃないか?」

 少女に、布団を被せる。

 このあたりは朝と夜が冷える。
 まどの外は霧に包まれていた。

「……化け物でもでてきそうだな」

 すっかり眠気が覚めた与一は、携帯を懐中電灯代わりにして一階へ向かった。

 喉がかわいたのだ。

「迎えにきてくれないかな、先生」

 レポートは送信できないので書き溜めている。
 電波が入り次第まとめて提出すればいいと言われたので問題ない。

 それでもここは、やっぱり不便なのだ。

「そろそろ尽きることだし」

 冷蔵庫の食料だって、そう残っていない。

 繭の部屋にいけばふんだんにあると思われるが、頼んで分けてもらうのもシャクだ。 
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