キミ観察日記
 たしかに息抜きにはなった。

 空気も良ければ星の綺麗なこの場所に、なにに縛られるわけでもなくのんびりと過ごすことは、デトックス効果のようなものがあったとさえ感じる。

「だけど僕は都会で引きこもる方が向いて……」

 グラス一杯の水を飲み、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたときだった。

 床が、濡れている。

 雨漏りか?

 見上げてみるが、天井から雨水か漏れている様子もない。

 与一は、足元を携帯のライトでよく照らしてみた。

「ヒッ……」

 見つけたのは、赤黒い液体。

 血だまりのように見えるそれは、どこかに続いている。

「な……。アイツ足でも怪我したのか? ひきずっている……?」

 それは、廊下の先へ続いている。

「おいおい。大丈夫なのかよ」

 与一は、血痕らしきものを追った。
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