キミ観察日記
「……消えてる」

 それは、階段の手前で途切れていた。

 ここで手当てをしたのだろうか。

 こんなところで?

「とりあえず。……掃除しておくべきか? 紅花が起きて見つけでもしたらビックリするぞ。手袋が欲しいところだが」

 カーペットのはしを持ち、めくりあげた、そのとき。

「おい」

 背後から、肩を捕まれた。

「……っ!?」

 慌てて振り向くと、そこには、自分より小柄な人影が見えた。

「なにやってんの。オッサン」
「……なんだ。お前か」
「オッサンは早起きするものっていうが。相当だな。それとも夜更かしでも?」
「雨音で目が覚めただけだ」
「ふーん」
「お前こそ。なに起きてるんだよ」
「オレか? オレはーー基本的には夜行性だから。これが普通だけど。もう少ししたら眠る」
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