キミ観察日記
その声に、聞き覚えはない。
けれど少女のことを追っている。
「キミたちを保護しにきた」
ーーきみ“たち”……?
「逃げ回る必要は、ない。助けたいんだ」
ホームにアナウンスが流れ始める。
乗り換えの案内についてのようだ。
「巻き込まれたのだろう?」
――マキコマレタ
「それとも。キミも共犯か」
与一は、頑なに口を閉ざす。
「答えろ。歯向くならまとめて捕まえてやる」
――まとめて
「……誰ですか。あなた」
「警察だ」
――ケイサツ
「外に車を止めてある。それに乗って署へ向かおう」
与一が顔をあげると、カジュアルな服を着た男が立っていた。
整髪料で整えられた髪に、洒落た革靴。
私服警官に見えなくもない。
「手帳を」
「なに?」
「見せていただけませんか。本物の警察なら、所持していますよね」
「ああ。いいだろう」
男がポケットに手を入れる。
その間も与一は警戒心をとかない。
「……小賢しい」
男は舌打ちをすると、
「――さっさと渡せ」
警察手帳でなく、小型ナイフを取り出した。
けれど少女のことを追っている。
「キミたちを保護しにきた」
ーーきみ“たち”……?
「逃げ回る必要は、ない。助けたいんだ」
ホームにアナウンスが流れ始める。
乗り換えの案内についてのようだ。
「巻き込まれたのだろう?」
――マキコマレタ
「それとも。キミも共犯か」
与一は、頑なに口を閉ざす。
「答えろ。歯向くならまとめて捕まえてやる」
――まとめて
「……誰ですか。あなた」
「警察だ」
――ケイサツ
「外に車を止めてある。それに乗って署へ向かおう」
与一が顔をあげると、カジュアルな服を着た男が立っていた。
整髪料で整えられた髪に、洒落た革靴。
私服警官に見えなくもない。
「手帳を」
「なに?」
「見せていただけませんか。本物の警察なら、所持していますよね」
「ああ。いいだろう」
男がポケットに手を入れる。
その間も与一は警戒心をとかない。
「……小賢しい」
男は舌打ちをすると、
「――さっさと渡せ」
警察手帳でなく、小型ナイフを取り出した。