キミ観察日記
「……ちがう。僕は。先生から信用されている」

 与一の声に力がなくなっていく。

「動揺しているな。所詮はキミも子供か。さっきまでの威勢はどうした」
「そうだとしても。僕は……信じている」
「ハッ。健気だねえ。教えてやろう。キミの主人はーー」

 ホームに再びアナウンスが流れる。

「……――だ」

 与一が、目を見開く。

「やはり。知らずに懐いていたんだな。なあ。俺なんかより、余程たちが悪いと思わないか。俺は、たった一人だ。それもヤるつもりはなかった。ただ観察していただけで」

 ーーカンサツ?

「あの少女が脆かっただけの話で。俺は、なーんにも、悪くない。かつて出された宿題に遅れて取り掛かったにすぎない。初めて教師に言われたことを素直に守ってみた。優等生だろう? だけどどうだ。キミの近くにいるそいつは自分の都合で何人も何人も――」
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