キミ観察日記
「とても信じられないな」
「どうしてかばう?」
その答えなら簡単に出る。
【先生が僕の生きる理由だった】
【先生が僕に生きる理由を与えてくれた】
【先生から大切なものを受け取った】
しかしそれを教えてやる義理は永遠にない。
ただ、与一は少女の手を握りしめる。
「一二三の面倒をみるのは大変だろう? この子は、なんにもできない。連れて歩くのはもう疲れたろ。ラクになるといい」
最初は、頼まれたからだった。
断ることができずに仕方無しに過ごした。
きっと、そんな夏になるはずだった。
「まあ、いいか」
男が与一の脇腹めがけ、
「キミは、もうだめだ。使いにくい。それに、知りすぎたから死んでくれ。どうせ。俺は人を殺しても、重い罪に問われない」
ナイフを、向けた。