キミ観察日記

 去り際に、与一は見た。

「どうすれば世の中が変わるか。どれだけ考えても答えなんて出ませんでした。繰り返される悲劇。人を殺めておいて国から守られる犯罪者たち」
「離せ」

 大好きな男の、絶望を。

「二つあるものすべてを一つにしたあと、自害できないようにして、腐るまで木に括り付けておいてやろうか。繰り返し溺死寸前まで苦しめてやろうか。これが凶悪犯罪者の末路だとその模様を生中継してやろうか。そんなことばかり考えて生きていましたが。思い改めました」
「離せーー」
「ええ。離しますよ。皆さんだって、いつまでも、そんな汚らわしいモノ触っていたくないでしょうから」

 拘束から解放された男がよろめき、踏みこたえようとするも、転倒する。
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