キミ観察日記
「オレの焼いたトースト半分もらって喜んでたガキが。すれやがって。……色ボケJK」
少年は、少女に出会った日のことを思い出す。
それは忘れがたい記憶だった。
「なにか言った?」
「なんでもねえよ」
そっけなくあしらっても懐いてくる少女に、生まれて初めて心を揺さぶられたのだ。
「マユには感謝してる」
「なにが」
「……助けてくれて」
「オマエのためじゃねーし」
「センセイのお願いだから、だよね」
「というよりは。単純に気に食わないヤツを消したい」
少年が初めて殺めたのは、実母の恋人だった。
ーー殺さなきゃ殺される
そんな危機感から、たった8つの頃に、大きな罪を犯したのだ。
実母は、あとを追うように自殺。
彼女は薬に溺れていた。
まもなく少年は施設に入ったが、そこで待っていたのは、やさしい世界なんかじゃなかった。
上級生や職員から暴力を受けた少年は、相手に大怪我を負わせてしまう。
イジメは隠蔽され一方的に悪者になった少年。
「オレはオッサンのような忠犬にはなれない」
そんな傷だらけの孤独な少年を、
『大変でしたね。辛かったでしょう?』
隔離・拘束されていた少年を、
『君の苦しみを取り除きたい』
施設へ巨額の寄付を申し出た夫婦に、円滑に引き取られた。
表向きは。
少年は、少女に出会った日のことを思い出す。
それは忘れがたい記憶だった。
「なにか言った?」
「なんでもねえよ」
そっけなくあしらっても懐いてくる少女に、生まれて初めて心を揺さぶられたのだ。
「マユには感謝してる」
「なにが」
「……助けてくれて」
「オマエのためじゃねーし」
「センセイのお願いだから、だよね」
「というよりは。単純に気に食わないヤツを消したい」
少年が初めて殺めたのは、実母の恋人だった。
ーー殺さなきゃ殺される
そんな危機感から、たった8つの頃に、大きな罪を犯したのだ。
実母は、あとを追うように自殺。
彼女は薬に溺れていた。
まもなく少年は施設に入ったが、そこで待っていたのは、やさしい世界なんかじゃなかった。
上級生や職員から暴力を受けた少年は、相手に大怪我を負わせてしまう。
イジメは隠蔽され一方的に悪者になった少年。
「オレはオッサンのような忠犬にはなれない」
そんな傷だらけの孤独な少年を、
『大変でしたね。辛かったでしょう?』
隔離・拘束されていた少年を、
『君の苦しみを取り除きたい』
施設へ巨額の寄付を申し出た夫婦に、円滑に引き取られた。
表向きは。