キミ観察日記
「起きろ。いつまで眠っている」

 意識を取り戻した少女が横たわっていたのは、真っ白な部屋だった。

「朝食の時間だ」

 目の前には、眉の上で前髪を切り揃え、切れ長の目をした少年が、顔をしかめて立っている。

 少女は、声が出せない。
 布を噛まされているからだ。

「今それを外してやる」

 少年が、少女の頭の後ろに手を回す。

 思わず少女がギュッと瞼をつむると、次の瞬間には口元から布、手首からは手錠が外された。

「足枷は、このままつけておくぞ。逃げられちゃ困るからな」
「……アシカセ」

 少女は、自分の足元をみる。
 歩けないよう拘束器具がつけられていた。

「アレルギーなどはないと聞いているが。間違いないな?」
「……アレルギー?」

 少女が聞き返す。

「まあ、いい。なにかあれば僕を呼べ」

 そういうと、テーブルに食事ののったトレイを置き、部屋からでていこうとする少年。 
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