キミ観察日記
 青年の言葉に、男が微笑む。

「かわいいですねえ。与一くんは、本当に」
「あんたさ。オッサンのこと妙に気に入ってるよな」
「ええ。気に入っていますよ。いっそのことーー紅花さんから取り上げてやりましょうか」
「勝手にしろ」
「ふふ。私が本気を出せば、与一くんは過ちを犯すと思いません? 君が紅花さんを奪うチャンスでもありますね」
「……あんた絶対長生きするタイプだろ」
「そろそろ紅花の元にいきたいのですがねえ。望みの薄い手術も成功したことですし。せっかくですからもう少し命を大切にしてみます」
「眠りたいならいつでも眠らせてやるよ」
「頼もしい」
「でもな。センセイに逝かれちゃ困るヤツがいるってこと忘れるなよ」
「獲物くらい。もう自分で見つけられるでしょう?」
「オレには繋がりがまだまだ足りねえ。これから築いていくが追い付かない。あんたなら、今助けを求めてるヤツがわかるだろ。さっさと教えろ」
「わかりました。では、処方しておきますね」
「じゃあな、センセイ」
「お大事に」


END
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