キミ観察日記
与一は、感じていた。
男から連絡を受けた時点で【ワケあり】なのだろうと。
ただ子供の世話をするだけにしては考えられないようなーーたった一ヶ月のアルバイト代にしては多すぎる金が、与一の口座に既に振り込まれていたのだ。
「そうそう。お伝えするのを忘れていましたが。あれは、前金です」
「……え?」
「きちんと役割を果たしてくれたら。夏休み最終日に相応の報酬を振り込んでおきましょう」
与一は、察した。
そこには【口止め料】も含まれているのだと。
自分は、なにやらとんでもないことに首を突っ込んでしまったのだと。
だからといって、
「やってくれますね? 与一くん」
「もちろんですよ。あなたの頼みを僕が断るわけないじゃないですか」
与一が引き返すことはなかった。
「そういってくれて助かります」
「ズルい人だ。断らないとわかっていて」
「なにか言いました?」
「いえ。では、僕はこれでーー」
玄関から出ようとする与一の腕を、男が掴む。
「……なんですか」
「いいですか。誰が来ても、けっしてこの扉は開けないで下さい」
「わかりました」
男から連絡を受けた時点で【ワケあり】なのだろうと。
ただ子供の世話をするだけにしては考えられないようなーーたった一ヶ月のアルバイト代にしては多すぎる金が、与一の口座に既に振り込まれていたのだ。
「そうそう。お伝えするのを忘れていましたが。あれは、前金です」
「……え?」
「きちんと役割を果たしてくれたら。夏休み最終日に相応の報酬を振り込んでおきましょう」
与一は、察した。
そこには【口止め料】も含まれているのだと。
自分は、なにやらとんでもないことに首を突っ込んでしまったのだと。
だからといって、
「やってくれますね? 与一くん」
「もちろんですよ。あなたの頼みを僕が断るわけないじゃないですか」
与一が引き返すことはなかった。
「そういってくれて助かります」
「ズルい人だ。断らないとわかっていて」
「なにか言いました?」
「いえ。では、僕はこれでーー」
玄関から出ようとする与一の腕を、男が掴む。
「……なんですか」
「いいですか。誰が来ても、けっしてこの扉は開けないで下さい」
「わかりました」