キミ観察日記
「たしかにデジタル機器なら書き順の重要性は極めて低い。読めさえすれば意味はあとから調べられる……いや、読めなくてもその場で検索できる時代ではあるが」
「ちがうとダメ?」
「ダメとは言い切れないかもしれない。でもな。最初に間違えて覚えると、なかなか修正し辛いかもしれないとだけ伝えておこう」
「よくわからない」
「人は同じ過ちを繰り返す生き物なのだ」
「アヤマチ?」
「間違いってことだな」
口には出さないものの、書き順よりどんな字を書いたかの方を大切にしてもらいたいものだと与一は考えた。
「……まちがえた。どうしよう」
「いや、間違えていい。間違えたことにはやい段階で気づけたら、その方が一発正解より印象に残るからな」
「まちがえていいの?」
「間違えたまま放っておいたり、なにが違うか理解しないまま進んでしまうのがよくない。紅花はまだ雛鳥みたいなもんだ」
「ヒナドリ?」
「鳥の赤ちゃんのことだ。僕が教えてやることの中から、お前が必要だと思うことを自分で選べ。僕は先に生まれてる分、学ぶ機会が多かった分、知識は多い。そんなの当たり前だ。それを分け与えてやることくらいなら、できる。お前が自分の人生をどう生きるかまでの責任はとれない」
「ちがうとダメ?」
「ダメとは言い切れないかもしれない。でもな。最初に間違えて覚えると、なかなか修正し辛いかもしれないとだけ伝えておこう」
「よくわからない」
「人は同じ過ちを繰り返す生き物なのだ」
「アヤマチ?」
「間違いってことだな」
口には出さないものの、書き順よりどんな字を書いたかの方を大切にしてもらいたいものだと与一は考えた。
「……まちがえた。どうしよう」
「いや、間違えていい。間違えたことにはやい段階で気づけたら、その方が一発正解より印象に残るからな」
「まちがえていいの?」
「間違えたまま放っておいたり、なにが違うか理解しないまま進んでしまうのがよくない。紅花はまだ雛鳥みたいなもんだ」
「ヒナドリ?」
「鳥の赤ちゃんのことだ。僕が教えてやることの中から、お前が必要だと思うことを自分で選べ。僕は先に生まれてる分、学ぶ機会が多かった分、知識は多い。そんなの当たり前だ。それを分け与えてやることくらいなら、できる。お前が自分の人生をどう生きるかまでの責任はとれない」