キミ観察日記
「……僕に休みは必要ないですよ」
「乾杯しませんか」

 男にそう言われた与一は、冷蔵庫から瓶に入った炭酸飲料を取り出す。

「いただきます」

 与一は知っていた。
 男はこれを飲まないと。

 少女の飲み物は少女の部屋にある小さな冷蔵庫に保管されている。

 つまり、これは男から自分への贈り物だ。

「私は水をいただけませんか」
「わかりました」

 テーブルに氷と水の入ったグラスと、氷だけの入ったグラスを持ってくる。

 与一は先に水の入ったそれを男に差し出した。

 それから自分のグラスにジンジャーエールを注ぐ。

「では、乾杯」
「乾杯」

 働いたあとのジンジャーエールは、旨い。

「いい飲みっぷりです」
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