キミ観察日記

「あの。たった一週間で、こんなこと言うと多方面から反感を買いそうですが」
「どうぞ」
「子供みるのって。大変ですね」

　そう言うと、与一はもう一口だけジンジャーエールを飲んだ。

「それは君があの子をきちんと世話している証拠です」
「そうでしょうか」
「ただ、一日一日を無事に過ごすこと。大切に時間を使うこと。それが、いかに難しいかを思い知ったのでは」
「……はあ」
「どうでもいいと投げやりになれば。案外そんなに大変でもないのです。あまり拘束具を使っていませんね？」
「すみません。ですが。外しているうちは、目を光らせています」
「かまいませんよ。そのあたりは与一くんのさじ加減でお任せします。外に出したり問題を起こすようなことにさえならなければ」
「気をつけます」
「君はお兄さんのようで。父親みたいでもありますね」
「やめてくださいよ」
「その年で父親にはなりたくないという意味ですか。それとも。父親になど、なりたくないと？」
「……わかっていて聞かないでください」