キミ観察日記
「みてみて、ヨイチ。センセイすごい」
少女が、ピョンピョンうさぎのように跳ね与一の元にやってくる。
いつもうしろにひとつに束ねている髪が左右の高い位置で結われていた。
いわゆるツインテールというやつだ。
おまけにつむじから結び目まで編み込みになっているものだから、少女の心をくすぐるのには十分すぎるのだろう。
「……お前もそういう女っぽいとこあったんだな」
「オンナ?」
「どうせ僕は不器用で。無能で。クズだ」
不貞腐れている与一に、男が声をかける。
「そんなことありませんよ」
「そうやって先生は老若男女を虜にしちゃうわけですね」
「与一くんは、慣れないながらに毎朝紅花さんの髪を結ってあげている。どうしてでしょう?」
「邪魔になるからですよ。食事のときも、勉強のときも、なにをするにも鬱陶しい」
「その通り。快適に過ごせるよう、気遣いがあってのことです。その想いが大事なのです」
「ヨイチもすごい!」
「取って付けたように言わんでいい」
与一が拗ねていると、男は少女に耳打ちをする。
そして少女はニッコリと笑った。
「ねえ、ヨイチ」
「なんだよ」
「いつも、ありがとう」
「……は?」
「ありがとう!」
少女が、ピョンピョンうさぎのように跳ね与一の元にやってくる。
いつもうしろにひとつに束ねている髪が左右の高い位置で結われていた。
いわゆるツインテールというやつだ。
おまけにつむじから結び目まで編み込みになっているものだから、少女の心をくすぐるのには十分すぎるのだろう。
「……お前もそういう女っぽいとこあったんだな」
「オンナ?」
「どうせ僕は不器用で。無能で。クズだ」
不貞腐れている与一に、男が声をかける。
「そんなことありませんよ」
「そうやって先生は老若男女を虜にしちゃうわけですね」
「与一くんは、慣れないながらに毎朝紅花さんの髪を結ってあげている。どうしてでしょう?」
「邪魔になるからですよ。食事のときも、勉強のときも、なにをするにも鬱陶しい」
「その通り。快適に過ごせるよう、気遣いがあってのことです。その想いが大事なのです」
「ヨイチもすごい!」
「取って付けたように言わんでいい」
与一が拗ねていると、男は少女に耳打ちをする。
そして少女はニッコリと笑った。
「ねえ、ヨイチ」
「なんだよ」
「いつも、ありがとう」
「……は?」
「ありがとう!」