キミ観察日記
「だから、僕はそういうのは」
「できないの?」
「できないわけではない」

 与一がリモコンを手に取り、プレイヤーを増やす。

「見てろ。こうやるんだ」
「すごい、ヨイチ」
「どんなもんだ」
「わたしも!」
「……おい。そっちじゃない。先へ進むぞ。いつまで同じところをぐるぐるまわっている?」
「おもしろいね」
「全然面白くない!! なんだ。なんかボスみたいなの出てきたぞ」
「ヨイチ、あかいの! ふってきた!」
「拾おうとするな。それは林檎ではない。爆弾のようだ」

 慎重に、それでも効率よくゲームを進行させようとする与一。

「たのしいね」

 一方、計画性皆無な少女。

「これは……疲れるな。目の負担も気になる」

 何度かステージをクリアしているうちに、セットしたタイマーが鳴った。

「30分たったな。まだやりたくても終わりだ」
「うん」

 テーブルにリモコンを置く、少女。

「……こういう聞き分けは妙にいいんだよな」
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