キミ観察日記
「ペンギンがみたい」
「動物園か」
「イルカも」
「だったら水族館だな」

 いくらでも行けばいい。
 動物園でも水族館でも、この先。

 そのうちお前なら誘ってくれるやつの一人や二人くらい現れるだろう。

 ただ、好奇心というのは、どこまで溢れてくるものなのだろうか。

 本物のペンギンやイルカを見てしまえば、尽きるのか。
 それとも何度でも見たがるだろうか。

「ユキも」
「あー……。雪山の写真、見たせいか」
「みたいなー」
「運が良ければ冬に少しは積もるところが見られるかもな。あとは、まあ。そのうち多いところに旅行するなり住むなり……」

 うんざりするような暑さが終わりかける頃。

「いくらでも。未来はある」

 きっと、自分はこの少女のとなりにはいない。
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