キミ観察日記
 花火は、いよいよフィナーレを迎えようとしている。

 打ち上げる本数が増え、派手になっていくそれをじっと見つめる少女。

「あか。みどり。あお。むらさき。きいろ」
「色の名前を覚えたのですね」
「炎色反応を利用してるんでしたっけ」
「与一くん。そういうこと言うとモテないですよ」
「……モテたくなんてありません」

 数千発の花火がすべてあがり終わった頃、

「眠そうですね」
「……うん」

 少女の瞼は重たげだった。
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