キミ観察日記
 客観的にみたら仲のいい家族のようなこの景色はーー偽りで満ちている。

 それでも与一は心地がよかった。

 この夏が終わらなければいいのに。

「三人で綺麗な空気でも吸いにいきましょうか」
「そとにでるの?」

 目をぱちくりさせ興奮する少女とは裏腹に、穏やかでいられない与一。

「はい。明日の朝は早起きできますか?」
「できる!」

 少女が自分の髪をかわいたタオルでふいている。

 男は、なにを考えているのだろうか。

「お泊まりの準備お願いしますね、与一くん」
「しかし」
「よろしく頼みますよ」
「……わかりました」
「やっぱり。与一くんは、そういうんですね」
「え?」
「私の言葉に。わけも聞かず、頭を縦にふるんだなと思いましてね」

 なにを考えていてもいい。

「信じてますから。先生のこと」
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