敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
それはさておき、誕生日デートで舞い上がってすっかり頭から抜けていた。彼女の存在が。
七岡さんの隣には烏丸さんがいて、私たちに向かって「お待ちしておりました」と爽やかに一礼する。
ひとまず挨拶を返したものの、生巳さんも七岡さんがいることに困惑しているようで、眉根を寄せている。
「なぜ七岡さんが……」
「烏丸くんがここの担当で、しかもあなたもランチしに来るって聞いたから、日にちを合わせたのよ。皆で食べたほうが楽しいじゃない」
あっけらかんとした調子の彼女の言葉は、烏丸さんのことも知っている口ぶりだったので、私は目をしばたたかせた。
その心の内を読み取ったかのごとく、烏丸さんが説明してくれる。
「僕と慧子さんは、元から知り合いなんです。彼女もここで食事したいと言っていたと桐原さんから聞いたので、連絡を取ったらこういうことに」
「そう、だったんですか」
やっぱりふたりも知り合いだったんだ。すごい偶然だがそれはいいとして、生巳さんと七岡さんの間でそんな会話が……。
別になにもおかしくないのに、些細なことで嫉妬がむくっと芽を出す。内心慌ててそれを摘み取っていると、七岡さんの猫のような瞳が私を捉え、にこっと微笑んだ。
七岡さんの隣には烏丸さんがいて、私たちに向かって「お待ちしておりました」と爽やかに一礼する。
ひとまず挨拶を返したものの、生巳さんも七岡さんがいることに困惑しているようで、眉根を寄せている。
「なぜ七岡さんが……」
「烏丸くんがここの担当で、しかもあなたもランチしに来るって聞いたから、日にちを合わせたのよ。皆で食べたほうが楽しいじゃない」
あっけらかんとした調子の彼女の言葉は、烏丸さんのことも知っている口ぶりだったので、私は目をしばたたかせた。
その心の内を読み取ったかのごとく、烏丸さんが説明してくれる。
「僕と慧子さんは、元から知り合いなんです。彼女もここで食事したいと言っていたと桐原さんから聞いたので、連絡を取ったらこういうことに」
「そう、だったんですか」
やっぱりふたりも知り合いだったんだ。すごい偶然だがそれはいいとして、生巳さんと七岡さんの間でそんな会話が……。
別になにもおかしくないのに、些細なことで嫉妬がむくっと芽を出す。内心慌ててそれを摘み取っていると、七岡さんの猫のような瞳が私を捉え、にこっと微笑んだ。