敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「君は、桐原のこと好きなんでしょう」

「え!? な……っ」


なんでわかったの!? 顔や態度には出していないはずなのに! ……いや、もしや今の落ち込みっぷりで気づいたとか?

唐突に図星を突かれ、あからさまにあたふたする私を眺めたあと、彼はどことなく嘲るような笑みを浮かべる。


「あいつはさ、表では紳士のフリしてるけど、腹の中は真っ黒なサディストなんだよ。学生時代の荒れっぷりを見せてあげたいくらい」


口調が敬語ではなくなると同時に、彼の雰囲気もなんだか陰があるものに変わった気がする。

生巳さんにSっ気があることは薄々感づいていた。さっきほど怖いときはなかったけれど。

私はそれを嫌だとは思わなくて、むしろクセになっている変人だ。

ベッドに組み敷かれて『お仕置きをしようか』と言われたときも、征服された感覚がたまらなくて、悶えすぎて涙目になったくらい。自分がここまでドMだとは。

だから、彼の本性を知っても引いたりはしない。


「あんなやつやめて、僕にしない? 森次さんのこと、初めて会ったときから気になってたんだ」


烏丸さんは妖艶な笑みを浮かべて、甘い言葉を口にする。
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