敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「だから引っ掻き回してやりたかったんだけど、やっぱり簡単になびくような子じゃなかったね。そこがますます気に入った」


ニヤリと笑みを浮かべる烏丸は、面白がっているのが明らかで不快極まりない。

ところが、俺がキレる前に、慧子がカウンターを拳でドンッと叩いた。


「ちょっとアンタ、生巳は私と付き合ってるって言ったじゃない!」

「バレバレだって、そんな嘘。面白いからあのときは話合わせてたけど。僕に彼女を取られないための作戦だったんでしょ」


声を荒げる慧子に対し、烏丸は呆れたように笑った。

実はこの男、人の大切なものを奪うことに快感を覚える悪趣味な奴なのだ。クラスメイトならおそらく皆が知っている。

こいつを警戒していたのは、俺からも花乃を奪うかもしれないという懸念があったから。

社食に伺った日、慧子は即興で俺と付き合っているフリをして、烏丸の狙いを花乃から逸らそうとしてくれたのだろう。

その気遣いには感謝するが、かなりわざとらしかったし、そんなことをしても無理だろうと俺も思っていた。

しかし、彼女は騙し通せた自信があったらしく、驚愕している。
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