敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい～イジワルな彼の甘い言いつけ～

くだらないことをほざきやがって……。昔だったら確実に叩きのめしている。

この男の相手をしている時間がもったいないと思い直し、乱暴に手を放した。そして、蔑みの目で奴を見下ろす。


「今後もふざけたマネをするなら、あらゆる合法的な手段を使って、お前を社会的に抹殺する。花乃に手を出しても同じだ。覚えておけ」


一段と低い声色で告げると、烏丸は乱れた襟元を直し、「やっぱお前も中身は変わってないねぇ」と苦笑を漏らした。

急いで店の出入り口のほうへ向かおうとする俺に、友人たちがブーイングを送ってくる。


「桐原、帰るのかよ!?　まだ始まってもねーぞ！」

「うっさいよ、あんたら。生巳、早く森次ちゃんのとこ行ってあげな」


俺の気持ちを汲んでくれる慧子に感謝しつつ、暗くなり始めている街に飛び出した。


会社へ戻り、ここの駐車場にひと晩停めさせてもらおうと思っていた車に乗り込む。酒を飲む前でよかった。

美香が花乃を捕まえるなら、おそらく俺のマンションで待ち構えているだろう。その辺りにいると見当をつけ、急いで車を走らせる。

マンション前の通りに着くと、禁止されていない場所に路駐して車を降りた。焦燥に駆られながら辺りを探す。