敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
◇あなたフェチなふたり
マンションの部屋に戻った私たちは、ひとまずソファに座ってお互いが知らない事実を明かし合った。
まさか、烏丸さんだけでなく慧子さんも同級生だったとは! 皆それぞれ黒歴史を持っていて、それを消したいがために他人行儀な接し方をしているらしい。
しかも烏丸さんは、略奪フェチとでも名づけようか、人の大切なものが欲しくなるタチだそうで。彼に私が奪われないよう、カモフラージュで慧子さんが恋人のフリをしていたと聞いて、驚きの連続だった。
それと同時に、生巳さんが私を好きだという気持ちは本物なのだとわかり、安堵と嬉しさが込み上げる。私も、本当の自分を包み隠さず話そうと決心した。
そして今、自分の眼鏡フェチを明かしたところだ。裸眼の生巳さんは、案の定その目をしばたたかせている。
「……眼鏡」
「はい。自分の好みドストライクの眼鏡男子には初めてお会いしたので、入社したときからずっと生巳さんのことを観察していて……。欲に負けて、隠し撮りまでしてしまいました。大変申し訳ありません!」
彼が眼鏡を押し上げている瞬間を激写した、例のものを映したスマホを両手で献上しながら、深く頭を下げた。