敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「実は、あなたは私と似た部分があると、入社当時から思っていたんです。両親の言いなりにならないところがね。さっきは一般的な意見として反対しましたが、気持ちはわかるので協力してもいいかと」


意外な話を聞き、私は目をしばたたかせた。

私はここに入社するための面接時、両親の反対を押し切って来たと力説した。あの場に専務もいたので、おそらくそのときから似ていると思っていたのだろうけど、専務にもそんな経験があるのか。

知らなかった一面をほんの少しかいま見た気になっていると、彼は「それに」と続ける。


「正直、こういうスリルも嫌いじゃないので」


長い中指で眼鏡のブリッジを押し上げ、いたずらっぽく口角を上げる彼を見て、心臓が飛び跳ねた。

今の危なげな発言と妖しげな目つき、なんだかSっぽさを感じてゾクッとしてしまった……。普段は穏和なのに、ふとしたところでサディスティックになる眼鏡男子もいい!

勝手に妄想して心の中で悶えるも、実際はしおしおと俯き気味になり、目線だけ上げて確認する。
< 21 / 153 >

この作品をシェア

pagetop