敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「ほ、本当に、付き合わせてしまって大丈夫なんでしょうか」

「ええ。そもそも、森次さんは相手が私で不満はないのですか?」


やや心配そうに聞き返され、私はぶんぶんと首を横に振る。


「不満だなんて、とんでもない! 信頼できる専務がいてくださると、とても心強いです。巻き込んで本当にすみません。ありがとうございます」


むしろとっても嬉しいし、光栄です……という不純な本音は胸に留め、深々と頭を下げた。

そうして上体を起こすと、彼はなんとなく含みと色気のある笑みを浮かべている。


「これで、私たちはお互いに〝恋に落ちてもいい〟と了承したことになりますね」


笑みと同じ妖艶な声で口にされ、胸が早鐘を打ち始める。

確かに、社長が言っていたように、この関係は偽りじゃなく本物になる可能性もなくはない。それが嫌なら今断るべきだが、私だけでなく専務にもその気はないらしい。

てことは……彼のストライクゾーンに私も一応入っているのか!

驚いているうちに、律儀にも「よろしくお願いします」と右手を差し出される。頬に熱が集まるのを自覚しつつ、遠慮がちにその大きな手を取った。

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