敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「あなたが私のことを語っていたとき、本当に愛されているような気がしました。『ずっとついていきたい』というセリフとか」

「えっ!」


反射的にバッと彼を見上げると、どこか楽しげに細められた瞳と視線がぶつかり、かあっと顔が熱くなった。

あれは確かに本心だけど、仕事上での意味。専務には憧れているし、密かにフェチの対象として見ちゃっているとはいえ、す、好きだなんて大層なものでは……!


「そのくらい違和感がなかったってことです。大丈夫ですよ、勘違いはしませんから」


クスッと笑われ、あたふたしていた私は縮こまった。

なんだかひとり意識しすぎていて恥ずかしい……。専務とこんなふうに話をしているのも、夜の街をふたりで歩くのも初めてだから、きっと舞い上がってしまっているんだ。

それにしても、彼はどうして私に協力してくれているのだろう。親に反抗する私に共感したという理由だけではないはずだと、ずっと引っかかっている節がある。

社長室で皆で相談したあの日のことを思い返し、隣を歩く背の高い彼を見上げて問う。
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