敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「き、桐原さん! なにをしているの!?」
ヒステリックな声が響き、キスの寸前で動きを止めた俺は、森次さんの頭を胸に抱き寄せる。
振り返れば、女性は両頬に手を当てたムンクの叫び状態になって青ざめていた。
彼女は小金井 美香、先月両親に無理やりさせられた見合いの相手だ。
特定の人にしか公表していないが、俺の父は大手食品会社〝白桐フーズ〟の代表取締役社長を務めている。
父の会社を継ぐ気がない俺は、『せめて結婚して孫の顔を見せてくれ』と言われ続けているのだが、まさか取引先である物流会社社長の娘との縁談を勝手に決められるとは。
どうやら相手側から是非にと強く懇願され、断りきれなかったらしい。とはいえ、父も結婚を望んでいるのは間違いないので、本音はまんざらでもなかったのだろう。
呆れ果てたが、決められてしまったものは仕方ない。父の顔を立てる意味でも一度だけ会い、その後きっぱり断ったのだった。
ところが、この小金井美香はまったく聞く耳を持たなかった。
『一度だけで判断されるのは心外だわ。もっと時間をかけてわかり合っていきましょうよ』などと言い、あれから何度もこうして足を運んでくる。
ヒステリックな声が響き、キスの寸前で動きを止めた俺は、森次さんの頭を胸に抱き寄せる。
振り返れば、女性は両頬に手を当てたムンクの叫び状態になって青ざめていた。
彼女は小金井 美香、先月両親に無理やりさせられた見合いの相手だ。
特定の人にしか公表していないが、俺の父は大手食品会社〝白桐フーズ〟の代表取締役社長を務めている。
父の会社を継ぐ気がない俺は、『せめて結婚して孫の顔を見せてくれ』と言われ続けているのだが、まさか取引先である物流会社社長の娘との縁談を勝手に決められるとは。
どうやら相手側から是非にと強く懇願され、断りきれなかったらしい。とはいえ、父も結婚を望んでいるのは間違いないので、本音はまんざらでもなかったのだろう。
呆れ果てたが、決められてしまったものは仕方ない。父の顔を立てる意味でも一度だけ会い、その後きっぱり断ったのだった。
ところが、この小金井美香はまったく聞く耳を持たなかった。
『一度だけで判断されるのは心外だわ。もっと時間をかけてわかり合っていきましょうよ』などと言い、あれから何度もこうして足を運んでくる。