敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
男性や色恋にあまり興味がないフリをして、眼鏡フェチである事実もひた隠しにしてきた。

そんな私が、すべてにおいてハイスペックな桐原専務を恋人として紹介しているなんておかしな話だが、母は純粋に喜んでいる。


「もう花乃ったら、こんなに素敵な人がいるなら早く教えてくれればよかったのに~」

「付き合い始めて、まだそんなに経ってないから……」


専務のおおまかな自己紹介を聞いて興奮気味の母に、私はストレートロングの黒髪を耳にかけつつ苦笑した。

普段は後ろでひとつに縛っていることが多いが、今日はあえてのダウンスタイルだ。

彼女は運ばれてきた上品で美しい料理を差し置いて、興味津々に問いかけてくる。


「どっちから告白したのかとか、なれそめを聞いてもいい?」


突っ込んだ質問に、フォークを動かす手が止まる。

そんな小恥ずかしいこと、教えてもいいと思える相手は気心知れた友達くらいだよ……少なくとも私は。記者会見を行う芸能人って、こんな気持ちなんだろうか。
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