敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
俺の部屋は二十三階にあり、広々としたリビングダイニングの窓からは東京の夜景を見渡せる。
物が少なくあまり生活感がないその空間は、黒いローテーブルに白いソファ、といった具合にモノトーンのインテリアで統一している。
遠慮がちに辺りを見回す森次さんをソファに座るよう促し、俺はキッチンでコーヒーを淹れた。
二人分のカップをテーブルに置いて彼女の隣に腰を下ろすと、実は父が社長であることや、先ほどの女性が見合い相手でつきまとわれていたことなどを明かした。
森次さんは、最初は緊張からか身を硬くして聞いていたものの、次第に驚きを露わにして若干前のめりになっている。
「桐原専務のお父様が、あの白桐フーズの社長だったとは……!」
彼女が目を丸くするのも無理はない。白桐フーズは名の知れた大企業で、パーフェクト・マネジメントが請け負う施設でも食材を仕入れているからだ。
「昔から御曹司と呼ばれるのが嫌で、あえて人には言わないようにしていたんです。学生時代は思考の違いから父と反発し合っていて、親子仲は最悪でした」